
進化するEC市場
ECロイヤリティ戦略の最新トレンドとは?従来との違いと今後の施策を解説
EC市場の成長とともに、ロイヤリティ戦略も進化を続けています。従来のポイントや割引といった金銭的なインセンティブだけでなく、近年は、パーソナライズやAI・データ活用、オンラインとオフラインを横断した顧客体験など、新たなロイヤリティ施策も注目されています。本記事では最新のロイヤリティのトレンドと、従来のロイヤリティのあり方を比較し、今後多くのストアが取り入れるべき内容について解説します。
従来のロイヤリティ戦略と
最近の消費者が求める施策
従来のロイヤリティプログラムは、主に以下のような施策が中心でした。
従来のロイヤリティプログラム施策
ポイントプログラムの導入だけでロイヤリティを開始
購入金額に応じたポイント付与により、リピート購入を促す。ポイントには一般的に有効期限が加えられ、期限切れ防止のためにリピート購入につながるケースが多いです。
割引クーポンの提供で値引きを通したロイヤリティへ
特定の条件を満たした顧客に、値引きや送料無料の特典を提供。ロイヤルカスタマーの育成にはポイントほど向いていませんが、施策をかなり実施しやすく多くのストアから愛されている施策です。
会員ランク制度の利用で、条件に基づいたロイヤリティ
購入額や利用頻度に応じてランクを設定し、上位会員に特典を付与。会員ランクは多くのストアでも愛用され、多く購入しているお客様に多く還元するといった目的にくわえ、購入のモチベーションにつながることがあり、従来のロイヤリティ戦略として効果的な施策です。
最近の消費者が求めるロイヤリティプログラムの傾向
しかし、最近の消費者は単なる金銭的メリットだけでなく、「ブランドとの関係性」や「共感できる価値観」を求める傾向が強まっています。
ポイントや割引、会員ランクなどの施策は現在でも有効ですが、多くのストアで導入されているため、金銭的なメリットだけでは他社との差別化が難しくなっています。そのため現在は、経済的なメリットに加えて、ブランドとの関係性や特別な体験など、金銭以外の価値を提供するロイヤリティ施策にも注目が集まっています。
ではどのようなロイヤリティ施策がトレンドになっているのでしょうか?
金銭的価値に加えて「感情的価値」も重視
近年、単なる金銭的メリットだけではなく、消費者の感情に訴えかける「感情的価値」も重要視されています。例えば、以下のような施策が注目されています。
ブランドとの特別な関係構築
限定イベントへの招待や、特別な体験を提供することで、顧客のブランドロイヤリティを向上。
会員限定のイベントやイベント時のノベルティ特典などは一般の会員からのモチベーションにつながると同時に、肌で高い会員ランクとしてストアに大事にされているとお客様が感じ取れるため、効果的な施策です。
Attentiveの2026年の調査では、ロイヤリティプログラムの報酬として「送料無料・高速配送」を選んだ消費者が65%と最も多く、無料ギフトや限定コンテンツなども選ばれています。こうした実利的な報酬に加えて、限定イベントやノベルティなど「特別扱いされている」と感じられる体験を組み合わせることが、顧客との関係性を深める施策につながります。
コミュニティ形成
ブランドを愛する顧客同士が交流できる場を提供し、ユーザー同士のつながりを強化。
構築されたコミュニティと共にイベントなどを開催することでさらに効果を発揮し、ユーザー同士のつながりを強化しながら、ユーザーとストアの接点も強化することができます。
オムニチャネル化による
シームレスな顧客体験
多くの企業がOMO(Online Merges with Offline)やオムニチャネル化を通して、オンラインとオフラインの融合が進んでいます。しかし、単に導入するだけではなく、OMOを定着させ、顧客の購買体験を最適化することが今後の課題となります。
オンラインとオフラインの顧客体験を分断せず、どちらでも同じようにサービスを受けられる環境を整えることも、現在のロイヤリティ戦略では重要です。
OMOの定着には、以下のような取り組みが重要です。
データ統合と活用の高度化
オンラインとオフラインの顧客データをリアルタイムで統合し、過去の購買履歴や行動データを活かした精度の高いパーソナライズ施策を展開する。
お客様情報のデータ統合を行うことで、オンラインストアにて実店舗での購入履歴を確認することができたり、実店舗での購入を元に、オンラインストアでおすすめの商品の種類を合わせるなどといったカスタマイズも可能です。
シームレスな購買体験の提供
ECサイトでカートに入れた商品を店舗でスムーズに受け取れる仕組みや、実店舗での購入データをECのレコメンドに活用するなど、一貫した顧客体験をシームレスに提供。
実店舗とオンラインストアを繋げるのはロイヤリティ施策としてもトレンドになっており、ポイントはシームレスに繋げることで、オンラインストアの購入体験で満足しているお客様にオフラインストアでも同じような満足感を持っていただく意識が重要です。
オフラインでのロイヤリティ強化
実店舗での来店頻度を高めるため、来店ごとにポイントを付与する、店舗限定イベントを開催するなどの施策を実施。
先述した通り、購入金額が多いお客様を優遇するなど、細かい施策も織り込むことで、感情的価値を提供することができ、ロイヤルなお客様を維持することと、新たに育むことができます。
スタッフのOMO活用スキル向上
店舗スタッフがオンラインの顧客データを活用し、適切な商品提案ができるようにすることで、オンラインとオフラインの垣根をなくす。
OMOは導入後の運用次第で成果が大きく変わります。単なるECと実店舗の統合にとどまらず、データ活用と顧客体験の向上を継続的に進めることが、OMO化の「定着」につながります。
AI・データ活用による
ロイヤリティ施策の高度化
AI技術の進化により、顧客ロイヤリティにおいても大きな効果を発揮し、AIやデータを活用することで、顧客ごとの行動を分析し、離反の兆候を把握したり、適切なタイミングで施策を実施したりすることが可能になります。こうした顧客理解の高度化も、近年のロイヤリティ戦略で注目されているポイントです。
行動データの分析
購買履歴や閲覧データをAIが分析し、顧客ごとに最適なオファーを提供。
ヘルススコアや条件を追加することで、ロイヤルなお客様とそうではないお客様の識別が可能になり、それぞれに対して施策を実施することが可能になります。
顧客行動分析による離反防止
顧客の行動を分析し、AIへ離れていくお客様の傾向を探してもらい、防ぐためのアクションを行うことで、お客様が離れることを阻止しながらロイヤル顧客の育成に繋げられます。
チャットボットによるサポート強化
AIチャットボットを活用し、リアルタイムで顧客対応を行うことで、満足度を向上。AIチャットボットの回答精度も顧客満足度に直結するため、利用するAIの質はしっかり考慮しましょう。
AIを活用することで、より高度なロイヤリティ戦略が実現可能になります。ShopifyではAIを搭載したアプリケーションが数多く存在し、AIがマーケティングのヒントを生成、AIが最適なアップセルやクロスセル、バンドルのオファーを見つけて、お客様に案内すること、AIによる商品画像や商品説明、チャットサポート対応など、多岐に渡り便利なAI搭載アプリがございます。
AIアプリについて詳しくはこちらから:『売上も効率も伸ばせるおすすめAIアプリ5選【2025年最新版】』
パーソナライズされたオファー
消費者の多様なニーズに対応するため、パーソナライズが不可欠になっています。
McKinsey&Company によると、お客様の71%はストアにパーソナライズされた施策を求めており、パーソナライズがないとことで76%のお客様は不満をいだきます。
購買履歴に応じた特典の提供
よく購入する商品カテゴリに関連する特典を提供し、リピート購入を促進。
誕生日や記念日限定の特典
顧客の特別な日にパーソナライズされたクーポンやギフトを提供。
Experian Marketing Servicesによると、お誕生日関連のメールは通常のメールよりも開封率が3倍ほど向上しており、顧客一人ひとりに合わせたコミュニケーションがエンゲージメント向上につながる可能性を示しています。
ロイヤルカスタマー向けの特別プログラム
一定額以上購入した顧客に、VIPサービスや限定商品を案内。
個々の顧客に最適化されたオファーを提供することで、エンゲージメントを向上させることができます。
具体的な事例
THE NORTH FACE
THE NORTH FACE社のXPLR PASSでは以下のように様々な特典が用意されています。
これまで紹介してきたように、基本的なポイントなどの特典に加え、独自の特典やストアとのつながりを感じさせるユニークなものを豊富に揃えています。
ポイント付与
オンラインストアや店舗でのお買い物で1ドル = 1ポイントを獲得。
限定商品
限定の特定商品への早期かつ専用のアクセスが可能。
専用サポート
メンバー限定のカスタマーサポートによって手厚くサポート。
限定ギフト
お誕生日や購入などで限定のギフトを獲得可能。
商品テスト
新商品や限定商品をテストとして早期に送付。
その他の企業の例
Nike
「Nike Membership」では、会員限定の商品やイベントを提供し、ブランドとの一体感を醸成。
Starbucks
「Starbucks Rewards」は、ポイント制度に加え、特典カスタマイズや限定プロモーションを展開。
Sephora
「Beauty Insider」は、AIを活用して顧客の購買履歴や好みに基づいたパーソナライズドリワードを提供。
Amazon
「Amazon Prime」では、AIによる購買分析を活用し、ユーザーごとに最適な特典やレコメンドを提供。
Vans
「Vans Family」では、ロイヤルティプログラムで獲得したポイントは、ECでの割引には使用できません。割引ではなく、ブランド価値を高めるようなコンテンツへの招待など、金銭的ではない体験価値や感情に訴えかけるような特典に対し、マーケティング資源を配分します。
まとめ
EC市場の競争が激化する中、従来の金銭的なインセンティブだけでは顧客の心をつかむことが難しくなっています。ブランドとの関係性を強化し、消費者の感情的価値を高める施策が、今後のロイヤリティ戦略の鍵となります。
「ポイントプログラムを導入したから安心」ではなく、その先に何ができるか? が重要となります。
ロイヤリティプログラムは、導入して終わりではなく、運用・改善を続けることで初めて真の効果を発揮します。本記事を参考に、自社の施策を見直し、競争優位性を確立しましょう。
最新ロイヤリティトレンドチェックリスト
✅ ただロイヤリティプログラムを導入するのではなく、価値を提供できているか
✅ 特別な関係を築いたり、コミュニティを作れているかどうか
✅ OMOを通してデータ活用を行いつつ、オフラインでの特典などを付与できているか
✅ AIを活用して、適したタイミングで施策を打つことができているか
✅ パーソナライズした通知や特典でお客様からの信頼を勝ち取る




ポイントや値引きという金銭的なインセンティブだけではなく、「ブランドとのつながり」を強化することで、長期的なファンを獲得できます。